「日常生活からのふとした困りごと」

車での移動。これは郊外では日常生活の一環です。レジャーはもちろんですが、買い物や両親の家への訪問などとにかく頻繁に車で移動します。息子はまだ小さいのでいつも一緒。普段はリアシートに座らせるのですが、ひょんなことからシートベルトの解除の仕方を覚えてしまいました。これはこれから気を付けないと……と思っていた通り、運転中気づくとシートベルトを外している我が子。ニコニコしながらこちらを見ています。これはいけないと「危ないから自分で外しちゃだめだよ」と諭しますが2歳3歳児にシートベルトを外す危険性を説明しても無駄(笑)いつの間にかまた外してしまいます。大人にとっては安心感を増す効果を生むので、装着しないと不安で一杯になりますが、子供にとっては窮屈でしかない代物です。ちゃんと理解できる年齢になるまで待つ?? いやいやそんなのは待てません。いつ不慮の事故にあうかもしれませんので。パパ友、ママ友からも同じような話が聞こえてきました。

有限会社エイチ・エスシー 代表 佐々木綱柄
有限会社エイチ・エスシー 代表 佐々木綱柄

「自分がつくらないと」

「物理的にベルトを外れにくくする車用品はないのか」。調べてみると似たコンセプトの製品はほとんどなく、海外製品などで見つけて、価格は高いが息子の安全には変えられないと思い切って購入しても大きくて我が家のマイカーのシートベルトには合わず……。物づくりは本業でも得意分野(本業は大型オートバイ ハーレーダビッドソンの販売やオリジナルパーツの開発、製造をしています)。ならば自分で作ってしまおうと考え、この製品の開発がスタートしました。まずは試作品をいくつか作りました。自分はもちろん、友達にも使ってもらったり、知り合いのカーショップやディーラーでも取りつけできるか試させてもらい、すこしづつ改良を重ねます。偶然、親の介護で病院や施設の送り迎えをしている知人からもこのような製品が欲しかったという声をいただきました。「確かに」と思いこの製品を一刻も早く世間に広めていかなければ、という使命感もわき、開発のスピードもアップ。そして2020年の秋ついに製品版が完成。販売開始となりました。

余談ですが、それでも製品化まで2年以上の歳月が過ぎ、息子も「安全のために必要」とベルトを勝手に外すことはなくなりました(笑)。しかし自分がかかえていた「子供の安全を守るために」という悩みを同じように持つ親御さんのために貢献したいと考えています。

開発終了と共に、特許を出願しておりましたが、令和4年8月26日、ついに特許を取得することができました。

特許第7130235号 シートベルト誤操作防止具

現在毎日のようにインターネット経由で注文をいただいており、個人の方からのみならず、事業所の方から複数個のご相談もいただくことが多くなってきました。

今後もみなさまのお役に立てるよう、Belt lock事業を進めてまいりたいと考えております。

(有限会社エイチ・エスシー 代表 佐々木綱柄)